セシモ旅行記 〜目指せ47都道府県踏破〜

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管理人多忙のため、今後の更新予定はありません。

  佐賀〜吉野ヶ里とハウステンボス

 芸人の「はなわ」ですら何も無いと断言してしまうほど観光に恵まれない佐賀県。有田 や伊万里などの焼き物で有名な町や呼子のような港町もあるのですが、いかんせん立地が悪い ので寄る人も少ないようです。
 宿泊ホテルの近くである佐賀駅周辺、そして長崎への通過点である吉野ヶ里遺跡に絞っ て観光することにしました。夜には長崎のハウステンボスもおまけで寄ってみました。


 3月16日(木)

 あいにくの雨の中で観光することになりました。


 ●朝食(ニューオータニ佐賀) 8:55〜9:15

ニューオータニ佐賀の朝食  外で朝食をとる場所が無いだろうと踏んで、ホテルで朝食バイキングにしました。ベーコン や卵など定番のものが多いですが、明太子があるのが九州ならでは。

 食べ過ぎるとお腹をこわすので適度な量で食事を終えましたが、これで1,500円。 ちょっと高すぎな気もしますが、ニューオータニですからね…。


 ●副島硝子 10:00  ↓徒歩

副島硝子  肥前ビードロを作る硝子店。店頭には一応売り物が置いてありますが、お店というよりも出 荷がメインの様子です。鮮やかな色をしています。

 雑誌によると「肥前びーどろの伝統を守る唯一の硝子店」だそうで、1300度の窯か ら取り出したガラスの生地を宙吹きで形作りしていくとのことです。


 ●佐賀城跡 10:30〜10:40  ↓徒歩

佐賀城跡  佐賀藩鍋島氏36万石の居城だった佐賀城。あまり歴史的なものを感じないのは、戦や火災 で殆ど焼失してしまっているためでしょう。現在残っているものとしては鯱(しゃち)の門が 一番有名なのだとか。

 どちらかというと周囲の幅80mの水濠が見所のように思います。確か「佐賀のがばい ばあちゃん」にも登場したお濠だった気がします。


 ●大隈重信旧宅 10:50  ↓徒歩

大隈重信旧宅  政治家として、また早稲田大学の創設者として有名な大隈重信の旧宅です。生誕125年を 記念して記念館も併設で作られました。

 特段思い入れが無いことと入館料が300円かかるので、外側から写真をとるだけにし ておきました。旧宅は平屋茅葺に一部2階建て瓦屋根になっています。


 ●佐賀市歴史民俗館 11:10〜11:45  ↓徒歩

旧三省銀行  国道264号を越えた先にある呉服元町のあたりは「佐賀市歴史民俗館」と称された町屋群 になっており、無料で町屋や銀行を見学することができます。

 まず、左写真の「旧三省銀行」。伝統的な蔵造りの外観で、屋根の形状は切妻屋根と呼 ばれるそうです。明治15年に設立された銀行で、開所当時は一般の銀行業務ではなく米相場 取引がメインだったようです。

旧牛島家  次に寄ったのが「旧牛島家」。もともと今宿町にあった町家を平成5年に移築再建したもの です。佐賀城下に残る町家建築としては最古のもので、江戸時代に作られたものだと推測され ています。

 建物はお土産屋さんとして利用されており、民芸品を中心とした品揃えです。風流なも のですね。佐賀県産のお茶ペットボトルを買ってみました。

旧古賀家の外観  古賀銀行の創設者古賀善平の住宅「旧古賀家」。明治17年に建てられました。町家であり つつも武家屋敷の様式を呈しており、明治の上流階級住宅の様子を知ることができます。古賀 という苗字は主に福岡、佐賀を中心とした由緒ある家系とされているようです。

 隣にある旧古賀銀行の解散とともに建物の所有者が変わりましたが、平成3年に佐賀市 の所有となり観光用に復元整備されました。

旧古賀家の中  旧古賀家の中では琴の演奏が行われていました。特に聴き入っている人はいませんでしたが 、観光客がちらほらといました。佐賀市の中ではこの町屋群が一番の見所のようです。

 左写真は「鍋島人形」。ひなまつりにちなんだ並べ方がされています。人形の着物の模 様が見所で、特許取得済という折り紙付きのものです。近くでの撮影が禁止されています。

旧古賀銀行の外観  旧古賀家の隣にある「旧古賀銀行」。レンガ造りのモダンな外観をしています。

 明治18年に両替商をしていた古賀善平が設立した銀行です。大正8年頃には九州の5 大銀行のひとつに数えられるまでに成長しましたが、第一次世界大戦の終戦による金融恐慌に より大正15年に休業に追い込まれたことで銀行業を解散したとのことです。

旧古賀銀行の中  現在は歴史民俗館として大正5年当時の姿に復元されています。外だけでなく内装もアンテ ィーク品で装飾されたモダンなものです。1階のメインフロアが吹き抜けになっており、2階 から見下ろすことができます。

 別部屋には雛壇が飾られていました。佐賀県のひな祭りは2月〜3月末と期間が長いの が特徴です。


 ●佐賀駅 11:50  ↓徒歩

長崎本線  佐賀駅から長崎本線で一旦福岡方面へと向かいます。

 黄色と黒の不思議な座席が並ぶ車内に違和感があります。端の椅子のシートを倒して座 ってみるも、なんだかこの色は目立って落ち着きません。

 駅に停車するときに全車両のドアが開かず、ホームを走る乗客を見ることができます。 ワンマン運転にも関わらず運転手が「切符ありますか」と確認に来ます。


 ●吉野ヶ里公園駅 12:10〜12:15  ↓JR長崎本線

吉野ヶ里公園駅  吉野ヶ里公園駅で下車。吉野ヶ里歴史公園の最寄り駅ということで駅建物内に情報館があり ます。電車は30分間隔であると、時刻表をチェックしてから出発。

 遠く見える吉野ヶ里遺跡の高床式倉庫の屋根を目印に、10分ほど田園の中を歩きます 。


 ●吉野ヶ里歴史公園 12:30〜15:00  ↓徒歩

吉野ヶ里の入場ゲート  弥生時代の環濠集落跡として物見やぐら、高床式倉庫といった当時の風景を再現した国定公 園。ムラからクニへと発展していく古代社会の変化を肌で感じることのできる観光地です。実 際にこの地から古代の遺物が多数出土しており、それを復元したことでこの公園が形成されて います。

 歴史的背景を知らないと楽しめないと思いますが、入口ゲートの手前右側の部屋に巨大 スクリーンがありVTRによる解説が放映されているので、それを見れば一発で理解できま す。

弥生時代の衣装  入口ゲート手前に貸し衣装があったので着てみました。貸し衣装といっても上から羽織って 腰紐を結ぶだけのもので、特に手続きなど必要なくハンガーから適当に取って着ることができ ます。この衣装は弥生時代に暮らしていた人たちが着ていた服に似せて作ったものです。

 さて、入場ゲートで入場料を払い、歴史公園の中へと入っていきます。

一般住人エリア  まずは当時の一般住人が住んでいたとされるエリアに入ります。他国の人間が勝手に入らな いよう周囲を柵や濠で囲んでおり、濠は約2mくらいの深さで掘られているので柵を含めると 高さがあり容易に進入できなさそうです。

 歴史公園内に幾つかある高床式倉庫や竪穴式住居に入ることができます。特に竪穴式住 居の中では当時の衣食住に関する物が置かれていたりと本格的です。

竪穴式住居  雨が降っていたので雨宿りがてら入ってみると、建物内中心で実際に焚き火を起こしていま した。その傍に歴史公園の従業員のオバちゃんが一人いたんですが、弥生時代の服装でワラを 切る作業をしており雰囲気が出ています。

 のんびりとワラを切っているオバちゃんと、しばらくお喋りしました。佐賀の観光客は 少ないものの、吉野ヶ里は福岡−長崎間の通過点にあるので寄ってくれるお客さんが多いのだ そうです。佐賀の地理について話が盛り上がりました。

資料館  付近には展示物のある資料館があり、発掘時の写真パネルなども見ることができます。

 発掘された人間の骨なんかも展示してあるのですが、頭蓋骨が無いんです。戦いで首を 切られた武士の死体だということが推測され、弥生時代にはすでに人間同士が戦うという文化 があったということがわかります。争いが激化したのは弥生時代中期からだと言われています 。

弥生時代の盾と鎧  物見やぐらの下に防具が置かれていました。吉野ヶ里は外壕に7ヶ所、南北内郭に3ヶ所の 入口が確認されており、入口では兵士たちが厳重に警備をしていたと考えられます。その兵士 たちが敵の攻撃から身を守るためにこの盾を持ち鎧を着ていたと考えられています。木製のよ うです。

 他にも有柄銅剣やガラス製管玉等、国の重要文化財に指定された出土品が数多くあり、 高い学術的価値を有するものと評価されています。

物見櫓からの展望  物見やぐらの上から佐賀の山々と吉野ヶ里歴史公園の各エリアを見渡すことができます。

 実は7年くらい前にも修学旅行でここに来たことがあるのですが、そのときに比べて約 3〜4倍にエリアが拡大されていてビックリしました。国定公園なので国からの開発費用が出 ているのか、発掘調査やエリア拡大作業をまだまだ続けているようです。

北内郭エリア  クニ全体にとって最も重要な場所「北内郭」。田植え、稲刈り、お祭りといった大切な行事 の日取りを決める場所としてだけでなく、儀礼的な話し合いと祖先への祀りが行われていた場 所とされています。

 重要な場所だけあって、先ほどのエリアとは造りが異なりますね。柵も頑丈そうに作ら れていますし、建物の大きさも違います。

弥生時代の儀式1  建物内には儀式を模した人形が配置されています。左写真は食事の風景で、食事をするだけ でなく話し合いも併せて行っているようです。

 正面にいる人が偉いのは言うまでもないですが、左に並んでいる人たちと右に並んでい る人たちでも階級が違います。位により着物の色で区別しています。右が上座とされ、衣装が 赤い人のほうが偉いのです。

弥生時代の儀式2  先祖と交信をするという風習もあったそうです。交信をする能力を持つ人間は限られていた ようです。

 ちなみに邪馬台国だとされているのがここ吉野ヶ里なんですが、邪馬台国は近畿だとい う説もあります。古文書の中で南を「東」と誤って書いたのだと推測されており、近畿説は 間違いだと言われていますが…。

公園内の花畑  すでに発掘し尽くした土地を利用して、花畑を作るという試みも行われています。まだまだ 土のままの場所が多いですが、これからに期待できそうです。

 紀元前3世紀から紀元後3世紀まで約600年も続いた弥生時代。その雰囲気を体感で きて楽しかったですね。吉野ヶ里についての情報、写真は公式ページを見るとよりわかりやす いと思います。→ 吉野ヶ里歴史公園 公式ページ


 ●肥前山口駅 15:40〜16:40  ↓JR長崎本線

肥前山口駅のだいちの家  再び長崎本線で佐賀を通り過ぎて長崎方面に向かいます。途中の肥前山口駅で乗り継ぎが必 要なんですが、約1時間の電車待ちとなるので一旦駅から出てみました。

 駅の近くに「だいちの家」という地元野菜の販売店がありました。佐賀県のお土産も少 しですが売っていたので、佐賀名物「丸ぼうろ」を買ってみました。


 ●ハウステンボス 18:00〜22:15  ↓JR長崎本線

ハウステンボス駅  電車での移動が長く、ついに長崎へと入りました。ハウステンボスに17時以降入場する場 合は、入場料が2,000円になります。アトラクションは楽しめないですが、雰囲気だけで も味わうことにしました。

 西洋風のお洒落な造りをした改札のハウステンボス駅。改札を過ぎた後の内装は普通の 駅に見えますが、外から駅舎を見るとやはり西洋風の外観をしています。

ハウステンボスへの道  駅からハウステンボスまで15分くらい歩きます。ちょっと遠いですね。

 駅から出てすぐ左手に大きなホテルがあります。「ハウステンボスJR全日空ホテル」 です。他にもハウステンボス内に幾つかホテルがあります。

 入国棟でチケットを購入し、早速入場。

ハウステンボスの風車  入口近くに大きな風車があります。オランダといえば風車ですよね。夜ということでライト アップがされています。手前には花が植えられていて、本物のチューリップが色鮮やかに並ん でいます。

 ハウステンボスは海沿いを埋め立てて作った施設なので、水路に橋がかかる光景が沢山 見られます。

ハウステンボスのテディベア  大きいテディベアが飾られています。テディベアの名前の由来はアメリカ合衆国大統領ルー ズベルトの愛称に由来するものですが、テディベアは各国にあるものですしハウステンボスが オランダだけでなくヨーロッパ全体をテーマにしていることもありシンボル的存在になってい ます。

 付近にテディベアショップがあります。テディベアのぬいぐるみやお菓子などが沢山置 いてあり賑わっていました。

ハウステンボスの開閉橋  オランダは水の国として開閉式の橋が沢山あります。踏み切りのように船で通るときに開閉 をするので、船に乗っている人が待たされるという独特の文化を持ちます。

 そのオランダの橋を模したのがこの橋です。実際に船が通るときに自動開閉されるみた いです。

ハウステンボスの広場  開閉橋を渡った先にはマウリッツ広場があります。オランダの町並みを再現した飲食街です 。こういう異国の風景は大好きです。ハウステンボス全体で合計11の街に見立てて各エリア が作られています。

 ここの飲食店は19時頃に閉まってしまうので急いで夕食の店探しをしたんですが、も っと奥のエリアには夜遅くまで営業しているお店があるので取り越し苦労でした。

ドムトールン  ハウステンボスのランドマーク的存在の塔「ドムトールン」です。高さ105mで、ハウス テンボス内だけでなく佐世保市内でも最も高い建築物です。地上80mの位置にある展望台か らハウステンボス全景を楽しむことができます。

 ゴシック様式の鐘楼ですが、特にモデルとなった建築物が海外にあるわけではないよう です。

とっとっとのトルコライス  「とっとっと」という洋食屋さんがあったので、長崎名物トルコライスを食べることにしま した。店名は「俺の物」という意味の博多弁です。

 ターメリック風のピラフ、スパゲッティナポリタン、デミグラスソースのかかったトン カツ、それぞれ見た目から想像できる通りの味ですが美味しいです。左手にスプーン、右手に フォーク、が正しい食べ方なのでしょうか。都度持ち替えながら食べましたが…。

ハウステンボスの花火  園内にあまり人がいないので相変わらず経営が厳しいのかと思っていたのですが、花火の時 間になるとホテルから人が沢山出てきて大賑わい。

 音楽とともにライトアップがされて、花火が大量に打ち上げられて港は幻想的な光に包 まれています。10分くらい続いたでしょうか、大満足の花火でした。

 花火が終わった後はショップでお土産を購入しました。

 園内を出てハウステンボス駅に向かったんですが、電車にギリギリで乗り遅れてしまい ました。次の電車まで35分待ち、しかも最終電車です。ホームで遠く輝く明かりと運河を見 ながら、寒さに凍えながら電車を待ちました。


 ●長崎駅 23:50  ↓JR長崎本線

 JR長崎駅に到着。親に電話しながらホテルまで歩きました。


 ●ホテルモントレ長崎 0:20〜翌9:00  ↓徒歩2km

ホテルモントレ長崎の室内  グラバー園、オランダ坂の近くにあるホテルでの宿泊です。ポルトガルの修道院をイメージ した造りのホテルで、館内にはランプミュージアムが併設されています。

 パッケージツアーの標準価格のホテルから選んだんですが、他県のホテルよりもランク が上のような気がします。お徳感がありますね。


 佐賀のおみやげ

丸ぼうろ  佐賀県の銘菓「丸ぼうろ」。卵、砂糖、小麦粉を使用して円盤状に焼き上げたお菓子で、や わらかいとも硬いとも言いがたい、しっとりとした食感と甘く香ばしい味がします。

 どこのメーカーのものかわかりませんが、風車の絵が書かれた袋に入っておりバラ売り されていました。ノーマル味と焚黒糖味の2種類ありました。どちらもおいしいです。




 見所が少ないと言いながらも楽しむことのできた佐賀県でした。何気に歴史や文化があ り、勉強にもなりました。

 移動が大変なので特定箇所を集中して見ましたが、時間があれば有田あたりにも寄って みたかったですね。