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セシモ旅行記 〜目指せ47都道府県踏破〜

国内旅行の旅行記を掲載しています。
管理人多忙のため、今後の更新予定はありません。

  青森〜太宰治故郷の旅

 昨日の弘前の夜を経て、青森観光モードに突入。
 青森旅行というと「47都道府県の中でも巨大な岩手・秋田の先にあって、有名な観光 スポットも聞いたことがない」的な人が多いんじゃないでしょうか。そこで、有名な白神山地 、十和田湖だけでなく、旅行ツウの人じゃないとなかなか行かない津軽半島、下北半島も力入 れて巡ってきました。


 9月18日(月)

 十和田湖の周遊道路沿いで車中泊し、朝になると外はあいにくの雨。この天気でハイキ ングするのは少々気乗りしないものの、ここまで来たからには決行するしかないですね。


 ●十和田湖「乙女の像」 9:25〜9:35

湖に乙女が…  友人が売店で雨具を探している間、自分は乙女の像を見にいくことにしました。

 湖沿いを歩いていくと、浜辺をバックに2人の女性が手を合わせる像が凛々しくそびえ ています。朝早くなのに記念撮影をして楽しんでいる人も数人います。

 さて、この像の作者は誰でしょう? 答えは岩手編で。

湖畔の散歩道  浜辺沿いは霧がかかり寒々しく、十和田湖に浮かぶ小さな島は紅葉づいていて、秋の訪れを 肌に感じます。

 浜辺を歩くのもいいですけど、湖畔の歩道から浜辺を眺めつつ散歩するのもいいですね 。

 友人が待っているので走って戻り、奥入瀬渓流まで車で行くことにしました。


 ●石ヶ戸駐車場 10:20〜10:25

ハイキング開始!  人気のハイキングコース「奥入瀬渓流」。全長8.9キロを結ぶのは、十和田湖畔の「子の 口(ねのくち)とここ石ヶ戸(いしけど)。2時間40分のコースです。→ 奥入瀬マップ 写真付きマップ

 駐車場というよりは渓流沿いに車を止めます。小屋は客でごった返していて、雨など気 にせずっていう人が殆どなのかも。トイレ休憩をしてからいざ出発。


賑やかな人達と渓流  小屋から階段を下りると、渓流の音が聞こえてきます。

 まず僕らを迎えてくれるのが、穏やかな渓流と広場。沢山の客がここで感嘆の声を上げ ながらワイワイやっています。

 しかし、ここから先にこんな広い場所はなく、十和田湖まで開けた景色が無いのです。 休憩ポイントが少なく、悠長に立ち止まることもなく雨の中を足早に歩くことになろうと は…。

緑に囲まれた道路  地図でわかる通り、渓流に絡まるように道路が通っています。

 道路と渓流は計4つの橋で左右交代になるので、十和田湖をずっと目指していても左側 の渓流と右側の渓流が交互にやってきます。

 渓流沿いと言いながら、車通りの多い道路脇を何度も歩くことになるのは、ちょっと窮 屈な気もしますね。

千筋の滝  奥入瀬渓流には滝が沢山あるんですけど、どれも迫力には欠けていて、しおらしく流れてい ます。左写真は「千筋の滝」で、この滝を皮切りに計12個の滝を拝むことができます。

 滝の写真を撮っているうちに友人とはぐれてしまって、探せど見つからず…。一本道な ので迷うことも無いと思い、このまま進みながら探すことにしました。

雲井の滝  千筋の滝から5分ほど歩くと見える「雲井の滝」。水量はなかなかですけど、遠くてあまり 豪快さは感じられないですね。滝から川の流れを成し、そして全長14キロの本流へと合流し ます。

 他の滝も色々と写真を撮ってみたんですけど、どれもブレてしまうんです。木々に囲ま れて薄暗い場所だからでしょうか。空の色を忘れてしまうほどです。

白と緑のハーモニー  雲井の滝から流れてくる川。遠くの滝よりも近くの流れの音が耳に届き、静かな森の中で癒 しの音を奏でてくれます。

 透明な水も岩間を流れて白く色づき、木々の緑とコケの緑が色を添えています。

 川沿いを歩いているからか、レインコートを被っていても髪の毛がグッショリ濡れてい て、早く温泉に入りたいなんて考えながら、さらに歩きます。

川と道が平行に並ぶ  色々な写真をこのページに載せていますが、実際は左のような景色がずっと続いているので す。単調な気もしますが、川のせせらぎに身を置いて流れていくような気分になれます。

 「深い木立を縫う清い流れ、飛沫を浴びる苔岩、数々の滝が幻想の世界をつくり出しま す」と、パンフレットに書いてある通りの世界が広がります。

綺麗な構図  土の上をひたすら歩いていて、たまに大きい水溜りに捕まり、靴がズブ濡れ状態に。やっぱ り早く温泉に入りたい。

 左のような一直線の木で舗装された道も数多くあります。こういう運河のような渓流を カヌーなんかで進んでいけたら楽しいと思うんですけど、残念ながらそういうサービスは無い のです。

 そういえば高低差が殆ど無いですね。車で渓流沿いを走った時には起伏があるように思 えたんですけど。

もうすぐゴール  実は朝から何も食べていない…。川に架かる橋に腰掛けて、白神山地で食べ損ねた薩摩鳥お にぎりを食べながら、渓流を楽しみます。

 そして、ゴールの銚子大滝が遠くに見えます。ついに、友人を見つけられぬまま終点ま で来てしまい、何か物足りないカンジです。

 狭い場所が多くて1人で歩きやすかったんで、まぁお互いに単独行動で良かったのかも しれませんね。ゆっくり歩いている人を追い越すのにも一苦労しましたし。

ゴールの銚子大滝  最後の滝「銚子大滝」。今までの滝とは違ってド迫力があり、ここで今までの中途半端な滝 のイメージが払拭されます。

 「幅20m、高さ7m、見事な水量を誇るこの滝は、奥入瀬川本流にかかる唯一の滝で 、奥入瀬を遡上して十和田湖に入ろうとする魚を拒む魚止めの滝。勇壮で見事な水量は今もな お十和田湖の神秘を守る番人のよう」だそうです。

 ●子の口 12:30〜13:55

奥入瀬たんぽ250円  レストハウス、遊覧船乗り場を探してみたものの、やはり友人はおらず。濡れたままの体で は寒く、それにお腹も空いていたときに目に入ったのが、みそたんぽ。きりたんぽに味噌を塗 って焼いたもので、そういえば角館でも売っていました。

 香ばしい味噌をつけているはずだけど、この寒さですぐに冷えてしまい、あまり味の特 徴が無い…。それに、もう少し食感があっても良い気がします。


 食べ終わった頃に友人が到着。近くでウロウロしている案内人にバス時刻を聞いてみる と、次のバスまで1時間半くらい待つとのこと。観光地とは思えない不便さですね。


 ●子の口湖畔食堂 12:55〜13:25

稲庭十和田うどん1100円  とりあえず食事。友人の姫鱒定食は豪華で、シャケのような色と味のするヒメマスは十和田 湖で釣ったものでしょうか。

 自分は稲庭十和田うどんをオーダー。十和田湖付近で採れた山菜の入った温うどん。細 くてやわからくて、ツルツルと食べ進んでいけます。個人的には冷ざるのほうが好きかな。( 角館で食べたのが美味しかったなぁ)

 きりたんぽも入っていましたけど、特色なし。やはりきりたんぽは鍋が一番ですね。

 食後はお土産屋を見て、タクシーで石ヶ戸まで戻ることにしました。今まで歩いた道の りをタクシーで走ると2500円もします。結構歩いたんだなぁ。

 自然を満喫してきましたけど、奥入瀬はハイキング好きの人にオススメします。雰囲気 だけ楽しみたいのであれば、渓流沿いを車で通過するだけで充分かもしれませんね。


 石ヶ戸から友人の車に乗り、八甲田山主峰大岳の西麓に位置する温泉「酸ヶ湯(すかゆ )」へと向かいます。やっと温泉だぁ (^o^)/。

 標高約900mの高台にあって、着いた途端、暴風と天気雨に打たれてずぶ濡れになり ましたけど、ようやく温泉に入れます。


 ●酸ヶ湯 14:40〜15:40

豪華な内湯  なかなか大きな旅館で、入り口正面奥には「ねぶた」が大題と飾られています。階段を上が り下りして迷いつつ、大浴場を発見。

 この温泉は「1000人入れる」というフレーズで有名な「ヒバ千人風呂」。青森はヒ バ林が有名で、そのヒバを使った風情のある温泉です。

 混浴で、自分が入った時間帯は浴槽の真ん中から左が男性、右が女性というルールにな っていて、自分は気づかずに女性側へ。

 浴槽の左側に男性が固まって並んで女性側を向いているという、女性が入ってくるのを 待ち構えているような構図です。たまに水着で入ってくる女性がいて、会社の先輩に似た人が 入ってきてビックリ。今回の旅は混浴女性遭遇率が高くていいですねぇ。

 内湯だけで満足できる温泉って初めてかもしれないですね。打たせ湯もあって、客も沢 山来ていました。硫黄の匂いがキツイですけど。


 予定では、青森の三内丸山遺跡に寄るつもりだったんですけど、2日連続のハイキング で疲れてしまったんで、帰ることにしました。


 ●鹿角八幡平IC→アスピーテライン→松尾八幡平IC

八幡平アスピーテライン  黒石インターから東北道に乗ったものの、このまま直接盛岡まで行くと夕食が早すぎてしま うので、寄り道をすることに。

 全長約27キロのドライブコース「アスピーテライン」。大自然と秘湯が魅力の八幡平 (はちまんたい)のメインエリアを通るこの道路は、ビューポイントが多い…と言っても、自 分たちが走ったときは雨で景色は楽しませんでしたね。

 「空に手が届きそうな道路」でした。→ Precious Road


 ●ぴょんぴょん舎 19:00〜19:50

焼肉&冷麺セットをオーダー  盛岡でも結構有名な「ぴょんぴょん舎」で焼肉&盛岡冷麺を食べることにしました。盛岡市 街からは少し離れていて駐車場があり、車で行くには便利ですね。

 ロースに牛タン、塩っ気が利いていておいしい♪

 メニューも結構充実しているし、店の雰囲気も明るくて気取ってなくて、なかなかいい 焼肉屋さんですね。

ぴょんぴょん舎の冷麺  お目当てはもちろんコレ。そもそも冷麺屋というものが無く、冷麺を食べるには焼肉屋に入 らないといけないんですよね。

 さすが本場盛岡の冷麺、ウマイ。引きちぎれない麺の弾力も良く、冷ややかなチャーシ ュー、ネギがイケてます。梨が入っているのが意外ですね(夏はスイカが入る)、これも冷麺 とマッチしてます。

 辛さは3段階プラス「別皿(キムチを中に入れない)」が選択でき、なるほど、キムチ で辛さを調整しているんですね。

 締めは盛岡の名店「クラムボン」のコーヒー。風味豊かな味がこの店でも楽しめます。


 ●岩手山SA 23:00〜23:10

 友人と別れ、ひとり青森へと車を走らせる…。

 東北自動車道の岩手山SAで南部せんべいを購入。
 食べながら八戸自動車道をひたすら走り、八戸北インターで降りてあとは下道。


 ●コンビニ 翌1:30〜5:50

 灯りすら満足にない道をひた走る…。コンビニがあるだけでホッとします。
 ずっと直線道路で疲れたんで、途中で寝ることにしました。


 9月19日(火)

 青森の北にある二つの半島のうち、西側にある(青函トンネルがある)のが津軽半島、 そして東側にある(マサカリの形をしている)のがこれから行く下北半島。

朝もやの直線道路  そのマサカリの東側、国道338号をずーっと北上するんですけど、直線道路と軽いカーブ が延々と続き、しかも半端じゃない轍(わだち:タイヤがよく通る箇所のみ劣化してくぼむ) で思い切りハンドルがとられて緊張しながらの運転。疲れる…。

 やがて、むつ市(陸奥)へと入るんですけど、距離にして八戸から100km。青森から でも100kmという、失礼ながらド田舎です。しかも、むつ市内の移動もそれなりに大変です 。


 ●尻屋崎 7:30〜8:20

夏の寒立馬  マサカリの北東の端にある尻屋崎。ここの名物は、雪積もる冬でも肌白く外を歩く「寒立馬 (かんだちめ)」という馬です。まぁ夏の時期は普通の馬ですけど。

 自動開閉のバー(馬が道路から飼育区域外へと逃げないように)を車でくぐると、その 先には数十頭の馬がノソノソ歩いていました。道路を塞ぐので、前の車が立ち往生して困って いました。

 他人事だと笑えるんですけど、自分も帰り道に2〜3分ほど立ち往生して困りました。

尻屋崎の崖と太平洋  岬の定番、灯台と海と草原は健在です。草原とはいえ、馬のフンがそこらじゅうに落ちてい るので、草原で寝転がるという気分には到底なれないです。

 そして、海が半端なく荒れている…この海によってマグロやイカ、サンマが活発に泳ぎ 、引き締まった身と脂が乗るのでしょう。

 展望のきく崖の上でおにぎりを食べましたケド、荒れた海から来る風は寒く強くてコン ビニの袋を必死で押さえながらの食事でした。

 自然豊かな尻屋崎の辺りは意外にも工業が盛んで、工場が立ち並んでいます。むつ市内 には科学資料館や原子燃料館があります。


 ●むつ市街 9:00〜9:20

 下北半島の中で唯一栄えているのがこの下北駅周辺「むつ市街」です(失礼かな)。広 大な下北半島の人達が買い物をするときに、ここに来るのでしょう。

 マックスバリュー(東北に多いスーパーで、ジャスコ、イオン系列)で休憩。片道1車 線にして交差点沿いの駐車場はドでかい。他にも東京でよく見かける「しまむら」「業務スー パー」もあります。

 ガソリンが安いですね。大まかな目安ですが、むつ市130円/L、盛岡130円/L 、青森134円/L、花巻・北上138円/L、東京149円/L(半端なく高い…)。


 ●水源池公園 9:50〜10:05

アーチ式ダム  1909年に建設された日本最古のアーチ式ダムのある公園。

 まぁ普通の公園にあるせせらぎをせき止める程度の小さなダムでしたけど、これでも昔 は近くの自衛隊訓練施設へ流す貴重な水源だったのだそうです。

 古びたレンガで造られたダムはやはり美しいですね。約100年もこうして変わらず佇 んでいるのを見ると、昔の建築家の敏腕ぶりを感じます。ちなみに赤い小屋の中には何もなし 。


 ●白洋館 10:10〜10:30

白洋館入口  海上自衛隊大湊地方総監部の入り口で「見学に来ました」と伝え、中にある白洋館を見せて もらうことに。

 白洋館の入り口に恰幅の良いオジサンがいて「昔は自衛隊がロシアに出動するための訓 練施設としてこの自衛隊地があり、近くにあるスキー場もロシア出動のために使用されていた んです」と解説。なるほど、釜臥山というスキー場が近くにあり、地図で見てみるとどうやら 海の見えるスキー場のようです。

 もともとは海軍のサロンとして使用されていた白洋館の中には、当時の雑誌、服、兵器 等が飾られており、スキー競技大会の優勝バッジなんてものも展示されています。


 ●あさの食堂 11:50〜12:40

活イカ定食1500円  昼は活イカを食べる予定で、下北半島の北側へ1時間以上かけて移動です。(もう大変)

 下風呂温泉街の小道にある店で「活イカ定食」を注文。出てきたのはイカの刺身と肝と 生きたままの下半身(!)。皿の上で微妙にウネウネ動く足を見ながら上半身を食すのはある 意味気持ち悪いですけど、興味本位で眺めながら味わってみると想像とは違う…。

 ナタデココのように身の外側は硬く内側は柔らかく、それほど甘い味はせず。肝はウニ みたいでとろけそうでいて弾力のある珍味ですね。イカの和え物も初見の味です。

 食べ終わった…と思いきや、店長さんが「足を切りますね」と一旦皿を戻し、ゲソの小 切り刺身を持ってきました。

 不思議なことに、ゲソは細切れになっていても生命力を留めており、吸盤が皿にしがみ 付き、極小の身震いをします。力ずくで皿から引き離し醤油皿につけると、そこでもくっつく んです。そして、口の中に入れると、さらに舌や歯に喰らいついてきます。硬い食感です。

 異次元のものを味わっているようで、味の良し悪しもわからず、ただ「いい経験をした 」と思いながら店を後にしました。


 ●恐山 13:40〜15:40

愛車の写真♪  下北半島の中心に位置する「恐山(おそれざん)」。日本三大霊山の一つで、死んだ人間を この地に呼び寄せて会話をすることができる「イタコの口寄せ」という儀式が不定期に行われ ています。下北半島へは観光ではなく故人に会いに遠方遥々から来る人が多いです。

 恐山の山門より手前に、よくわからない空き地があったので車を止めて写真撮影。逆光 なんですけど、いい写真が撮れました。

 バックに見えるのは宇曾利山湖(宇曾利湖)です。

天国への架け橋  あの世に行くために渡らなければいけない「三途の川」に架けられている「太鼓橋」です。 橋の手前が俗界、橋の奥が霊界となっていて、その先に恐山の山門があります。

 宇曾利山湖から流れてくるこの川のそばには、卒塔婆が沢山立てられています。最初は ゴミをせき止める板かと思いましたが…。

 淡い風景の中で赤塗りの橋が際立って見えますね。この橋を渡れるのは善人だけと言わ れていますが、実はとなりに石橋があって善人でなくても車で通過できるんです。

山門  しかも霊界なのに山門の傍に駐車場が完備されています。

 売店がありましたケド、線香、麩、草履、傘など、もはや観光客とは無縁の商品を扱っ ています。客を呼ぼうという加工をせず、観光地じみていないところがいかにも霊山っぽいで す。

 イタコの口寄せの受付は終了となっており、ちょっと口惜しいながら参拝のみすること にしました。

総門  山門をくぐると総門が見えてきます。左右に並べられている燈は全部で48個、きちっと整 列しています。

 奥ではお経を読む住職さんと参拝者1名がいて、ただただ静寂の流れる空間を見守りつ つお賽銭を入れておきました。

 温泉が湧き出ていて内湯として誰でも入れるようになっていますけど、わざわざここで 入る人もいないでしょう。

上からの景色 地獄絵図  総門からは写真左のような地獄風景が広がります。いつか見た長崎の雲仙地獄みたいですね 。所々から湯気が出ていて、溢れないよう小石で塞がれています。

 山へと向かう階段もあり、階段途中から山門を眺めた風景が写真右。恐山はどこから見 てもいい景色を堪能できます。


死者の蛇列(嘘)  誰も人がいないと思いきや、バスで運ばれてきた老人客の団体がぞろぞろとお参りしていき ます。行列の先にあるのは慈覚大師堂。

 皆さん信仰心が強いんだなぁっていうのが不思議と伝わってきます。珍しい物見たさに 来た自分が情けないです。

 まぁ傍から見ていると、死んだ人たちが三途の川を越え、ここまでやってきた風に見え ます。死後の世界ってこんな場所なのかなぁ。

延命地蔵尊  遠くに「延命地蔵尊」が見えます。

 直線にして歩くと1分ほどですけど、普通の人は千手観音などを巡って20〜30分か けて延命地蔵尊のところまで行きます。案内パンフレットには順路が書いてあるんですけど、 皆さん気の赴くままに見て回っています。

 それにしても晴れたり曇ったり、気まぐれな天気ですね。

千手観音?  これが千手観音…だと思ったんですが、後から調べてみるとこの像は千手観音ではないと書 いてありました。パンフレットにも載ってない…。そもそも自分は宗教には無関心なので、恐 山のこと自体、よくわかっていないのです。

 この霊場恐山の寺名は「恐山菩堤寺」。「人間は死んだら天国、地獄に行く」というの は仏教の考え方で、ここも仏教のお寺というわけです。

八角円堂  …と、自分じゃ大した知識が無いので、恐山の宗教的な話はリンク先でも見てくれればいい と思います。写真も満載ですよ。

 ・恐山について
 ・日本三大霊山巡拝
 ・特別企画 恐山旅行記

 ちなみに左写真は「八角円堂」です。

大尽山(おおづくしやま) 水子地蔵  八角円堂の近くにある水子地蔵。子供を供養するための池で、紙札を買ってここに 浮かべるのだそうです。

 風車が沢山立てられていて、そよ風の吹く中でクルクル回っています。ほのぼのしてい るというか「安静」という言葉が似合います。

お供え?  水子地蔵から右手に極楽浜と宇曾利山湖が広がり、大尽山が突出してそびえています。

 浜辺には先ほどの老人達が添えたのか、花が沢山並んでいます。花以外にも木の枝、線 香が真っ直ぐに立っています。まるで故人が山と湖に見守られながら眠っているような、お墓 の風景に見えます。でも悲しいかな、風が強くて倒れてしまった花もあったので、自分が元に 戻しておきました。

晴れ渡る極楽  浜辺で歩いているカラスも極楽鳥に見えます。淡い背景にピッタリくるんですね。

 湖の近くには彩り豊かな草木が生えていますけど「延命地蔵尊」に近づくにつれて灰色 、黄土色の石がゴロゴロと広がっています。

 ここから上っていき、展望台からも山と湖がよく見えます。

空が青い、ハァ〜  「延命地蔵尊」の近くで寝転んで、空を眺めるひと時。山門には、まだまだ訪れる人がいま す。

 こういう時を忘れられる空間にいると、なんだか悩みもすべて忘れることができますね 。もし死んだら現世の重荷をすべて置き去って、こんなに軽くなれるのかなぁと妙に嬉しい気 持ちになれました。

 恐山、いい場所でした。

 行きは県道4号北側を通ったんですけど、道が狭いので帰りは県道4号南側を通ること にしました。そして再び北へ。


 ●大間崎 17:10〜17:25

本州最北端「大間」  本州最北端「大間」。最北端の碑は暴風と雨ゆえ文字すら見れず、夕日も雲に遮られてしま っています。

 岬のイメージとは違い、整備された防波堤の先にただ荒れる海が広がっているだけの風 景でした。天気のいい日なら北海道も見えるんですけど…。

 数件あるお土産屋も何気なく見て終わり。あえて見所といえば、朝の連続小説「私の青 空」ロケ地の小屋があることくらいですね。


 ●大間港 17:40〜18:10

マグロ宣伝トラック  最北端から少し戻ると、数軒の飲食店と大間港があります。

 うーん時間帯からか、寂れた漁港に見える。観光客が来るのなんて、恐山の祭りがある 時期くらいかもしれませんね。全国への出荷を目的とした漁業がこの町を支えているようです 。

 大間は「マグロ一本釣り」が有名で、よく漁師のドキュメンタリーなんか放送していま すね。そして、渡哲也主演、2007年正月スペシャルドラマ「マグロ」の描かれたトラック が止まっていました。

 雑誌に載っていた「浜寿司」を探したものの、見つからず。食事はどこにしようか…。


 ●福寿司 18:10〜18:30

マグロ丼  大間といえば、東京でも高値で取引される「大間マグロ」が有名ですね。本場では安価で新 鮮なマグロが食べられるということで、見つけたお寿司屋さんに入ってみました。

 マグロ丼。赤身7切れ程とネギトロが盛られていて、これで2200円は充分な量。赤 身は色が良く、やわらかくて醤油を軽くかけると旨みが引き立ちます。ネギトロもとろけてウ マイです。

 ただ、自分が期待し過ぎていたからでしょうか、感動的な味とまではいかないかったで す。もしかしたら、お寿司で出してもらったほうがより美味しいのかもしれませんね。

 店内は静かで、夫婦が方言で喋っているのを聞きながら黙々と食べました。


 ●マクドナルドむつ中央店 20:45〜22:00

 マグロ丼だけではお腹が満たされず、そしてデジカメの充電もしなければいけないので 、お昼に寄ったマックスバリューの一角にあるマックへ。

 チキンカツバーガーとアップルティーを食べながら、これまでの旅行記を軽く文章にま とめる作業をしました。


 ●ローソンむつ奥内店 22:30〜翌2:10

 帰りは陸奥湾沿いの国道279号で青森を目指します。
 途中でさすがに眠くなり、ローソンに車を止めてそのままグッスリ。


 9月20日(水)

 太宰治の小説「津軽」。太宰が30過ぎにして故郷津軽を一周し、その出来事と土地の 特徴について語るという風土記チックな内容なんですけど、その小説に登場する場所を巡って みたいなぁと思い、今日は津軽半島の町々を一つひとつ訪れることにしました。


 ●浅虫温泉 3:30〜4:20

 「mihimaruGT」のCDを聞きながら南西へと走り続け、津軽半島に差し掛かるところに あるのが浅虫温泉。

 まぁ朝日が昇る前のこんな時間に温泉入れるわけもなく、街も暗くてよくわからなかっ たのですが、観光案内版は豪華でした。船旅の客を泊める旅館として昔から栄えている土地だ そうですが、実際はちょっと寂れた感じがします。


 ●青森市街 5:00〜5:30

青森ベイブリッジ  さらに海寄りの国道を走ると、青森市街へと差し掛かります。

 海沿いにかかる青森ベイブリッジを見上げると高くそびえていて凛々しいんですけど、 それゆえ、たもとに広がる海は何だか暗く閉塞感があります。

 青森市街は海沿いに網目状の道路が敷かれていて、この青森ベイブリッジがランドマー クになるので、道に迷いにくいですね。

 東から昇る太陽を横目に、直線道路を地道に走ります。今回、津軽半島の東側から北の 頂点を目指して西側を南下するルートを走ることにしました。


 ●蟹田の観瀾山 6:20〜7:30

蟹田の港を見下ろす  津軽半島の東側「外ヶ浜」にある「蟹田」。町名の通り蟹がよく取れるだけでなく取れたて の魚を食べ、不漁のときは山菜が並ぶという食に恵まれた町、らしいです。

 その蟹田の港を一望できる小高い丘「観瀾山」。観光客はおろか青森県民ですら寄らな いこの観瀾山は、太宰治の小説「津軽」で花見をした場所、と紹介されています。

 …実際は松の木が邪魔で展望はあまり良くなかったですが、飾り気の無い港と水平線の シンプルさが逆にすがすがしいです。

 太宰はこの蟹田を「ひどく温和でそうして水の色も淡く、塩分も薄いように感ぜられ、 磯の香りさえほのかである。雪の溶け込んだ海である」と言っています。

 太宰の碑や、学生の短歌碑が置かれていますが、まぁ何も無い丘です。


 ●平舘不老不死温泉 8:20〜8:45

ケロリン  3日前に入った黄金不老ふ死温泉の他に、青森にはもう一つ不老不死温泉があると友人に聞 いたので、立ち寄ってみました。

 営業時間前にも関わらず快く入れてくれたのは有難かったんですけど、これ温泉という より民宿の風呂じゃん!

 源泉を引っ張ってきているのは確からしいですけど、これじゃあちょっとガッカリか な…。


 ●今別の本覚寺 9:25〜9:30

本覚寺  他人にとってはつまらぬ観光かもしれないですけど、見知らぬ町を順々に寄っていくのもま た旅情があり、太宰治が訪れた土地をなぞるのも楽しいです。

 この本覚寺は「津軽で有名な貞伝和尚が開いたお寺」と小説に書かれており、お寺の境 内には後光の差した大仏がありました。

 それにしても東京じゃなかなか見られない青い空、青い海。空気が澄んでいるから、こ んなに爽快な青色をしているんでしょうね。


 ●三厩の義経寺 9:45〜10:10

高台の建つ寺  源義経の伝説は全国各地にありますが、さすがにここ青森までは来ていないでしょう。伝説 なんて得てしてそういうものです。境内には弁慶の足と杖の跡があるらしいですが、見つけら れませんでした。

 三厩(みんまや)の義経寺は高台にあり、お墓の向こうに広がる煌びやかな海を見てい ると、いつかこのお墓で眠りたくなるなぁ、なんて。時を忘れた町の中で、忙しい自分をふと 恥じてしまいます。

 蟹田、今別、三厩、これから行く竜飛、小泊と港町が続きます。


 ●竜飛崎 10:30〜

津軽海峡の秋景色  津軽半島の最北端「竜飛(たっぴ)」。車で空高く上がっていくと、山の灯台へと辿り着き ます。

 石川さゆりの「津軽海峡冬景色」で有名な竜飛。記念碑についているボタンを押すと、 ドデカイ音で「ごらんあれが竜飛岬 北の外れと〜♪」と原曲が流れてきて、これがオバちゃ ん達に大人気(笑)。記念碑のそばで写真待ちの群れがワイワイと賑やかでした。

 灯台近くは風速12メートルくらいの強風で、立っているだけでも大変! まさに地名 の通り、竜が飛ぶ勢いです。

国道339号  日本で唯一、車道が無い国道「階段国道」があります。こういうスポットを作るあたり、観 光に力を入れているんですね、竜飛崎。

 眼下の海と、上目の先にある太陽。気持ちいい。階段を下っていくと、なんだか長崎の グラバー園を思い出してしまいます。

 階段は港へと通じているんですけど、途中で民家を通るんです。観光客にウロウロされ る民家の住人、落ち着かないだろうなぁ。


 ●青函トンネル記念館 〜12:10

青函トンネル構造  竜飛の地面下には、函館へと続く「青函トンネル」が通っています。その記念館なんですけ ど、当時の工事現場写真などが暗い室内に飾られています。工事もそれなりに難攻したんだろ うなぁ。

 右写真はトンネルの構造図ですけど、トンネルって電車通行用1本だけでなく非常時の 旅客通行用に2本作られているんですね。

 そういえば青函トンネルの一部分を走る体験電車がありました(別料金)。時間が無い んで乗らなかったですけど。

 竜飛では強風を利用した風力発電が盛んで「竜飛ウインドパーク」という記念館も併設 されています。「風は何故吹くのか」といった説明のパネルだけでなく、原寸大のプロペラや 風力体験コーナーなんてものもありました。→ 東北デミオ旅行記 竜飛


眼下の日本海  さて、竜飛を後にして津軽半島西側を南下していくんですけど、ここからが絶景ドライブコ ース。さらに昇った先にある展望台からは蛇の道路と自然豊かな森、そして広大な海を一望で きるんです。

 そして下りのヘアピンカーブを走っていくと、目の前に広がる海。オープンカーの先に 展開される水色の世界は煌びやかに輝いていて、つい写真を撮ってしまいました。

 「龍泊ライン」津軽半島随一のドライブコースですね。


 ●小泊の「小説津軽の像記念館」 12:50〜13:05

金木高校分校の校庭  南下する道路の脇道を通り、森の先にある小泊(こどまり)という町に寄ってみたんですけ ど、日当たりが良くて空気も綺麗で、時間を忘れさせてくれる田舎の風景に、感慨深くなりま した。

 小さい集落、都会の喧騒とは無縁の場所。

 集落の独特の空気、何も無くてもずっと時間をつぶせます。

 小泊は、太宰治が育ての女中タケと何十年ぶりに出会う場所で、小説に登場するのがこ の学校。運動会をのんびり眺めるという内容で、当時の賑やかさを今見ている校庭に重ね合わ せて想像してみると、この町の暖かさを肌で感じることができます。

 すぐ近くに「小説津軽の像記念館」というのがあるんですけど、なんか外でのんびりし たくて、入りませんでした。記念館の入り口後ろには、太宰治とタケの像があります。2人と も年齢よりも老けて見えますね。→ 小説「津軽」の像記念館


 ●十三湖 13:25〜

中の島への橋  さらに続くドライブコースの先に、食事処の建物が現れてきます。そして左手には橋のかか った湖。白神山地の十二湖と名前が似ていて紛らわしいですが、こちらは津軽半島の中ほどに ある「十三湖」。

 おおよそ湖って森に囲まれて薄暗いものですけど、この湖は視界が開けていて明るいで すね。中世の頃は、日本海からの船を出迎える貿易港だったと言います。地図で見ると、確か に日本海と繋がっていますね。


 ●ドライブイン和歌山 〜14:00

しじみラーメン  十三湖といえば絶品の「シジミ」が採れると評判で、名物の「しじみラーメン」を食べたん ですけど、紛れもなく絶品でした。

 いや、ラーメン自体は微妙。海水のような香りの塩味スープに食欲を削がれてしまい、 飲んでみてもまぁまぁの味。麺もこだわりの無さそうなちぢれ麺。(と言いながら普通に味わ って食べてましたケド。しかも、味噌味の特製ラーメンもメニューにあったらしい…)

 それよりも「しじみ」がサイコーにうまいんです。「脂の乗ったシジミ」って表現は聞 いたこともないですけど、あえて形容するとしたらそんなカンジ。砂利もなく、小さい身に大 きな存在感が溢れてました。


 ●芦野公園 14:40〜15:00

金木の芦野公園  さてさて、太宰治の生まれた金木町へと入っていきます。

 津軽中里から南下する道路の左手に広がる大きい池。大きな入り口の門構えこそ、太宰 治が子供時代に遊んだ「芦野公園」。優雅という言葉が似合う公園ですね。散策したかったん だけど、広すぎっ!

 左写真は、道路のバス停から撮ったもの。バス停の柱には、太宰治の小説の写真が飾ら れています。愛されているんですね。近くの踏み切りも印象的でした。ちなみに、桜の名所だ そうです。


 ●金木駅 15:05〜

津軽鉄道の金木駅  芦野公園から津軽鉄道で一駅。小説津軽では、金木町を「どこやら都会ふうにちょっと気取 った町」と表現していて、なるほど、駅の外観はローカル線の駅にしては綺麗で整った形をし ていますね。

 駅の中はこじんまりとしていて、小さな食事処がありました。

 外を歩いていても、看板を見るのが楽しいですね。「太宰の里」なんていう地酒もある ようです。太宰治の本名は「津島修治」と言うんですけど、芦野公園から金木駅までの道には 津島建設、津島病院、津島印刷など、今でも親戚が幾らか住んでいるようです。


 ●金木町太宰治記念館「斜陽館」 〜17:25

 今日のメインは、やはり「斜陽館」ですね。

 太宰治の家でもあり、建物は1907年に太宰の父で衆議院議員であった津島源右衛門 によって立てられたもの。外観も内装もスゴイです。→ 五所川原市公式ページ:斜陽館

 最近まで旅館として経営されていたこの斜陽館ですが、経営難に陥り1998年、太宰 治記念館として再出発したのだそうです。


広い玄関  受付でお金を払うと「無料で案内ガイドをつけましょうか」と言われたのでお願いしたとこ ろ、学生にスーツを着せたようなカンジの青年が出てきて「説明に30〜40分かかりますけ どよろしいですか」と。…そんなにかかるの?

 まぁ特にこの後行きたい場所も無かったので、ここに骨を埋める気持ちで聞いていくこ とにしました。早速、中へ入ってみると、広い。客を送り迎えするこの広い玄関、冬場は寒い んだろうなぁ。

復元された竈  靴を脱いでいざ部屋へと上がるんですけど、そこにあるのが竈(かまど)。

 これは太宰治記念館として当時のものを復元したものだそうです。もともと建物の保存 状態が良かったようですね。復元したものはこの竈くらいで、他は「修繕」程度で済んだよう です。当時のものがそのまま今でも存在するっていうのは素晴らしいことですね。

囲炉裏  竈の先にある囲炉裏。この囲炉裏には仕掛けがあり、板を外すと中に炭がストックされてい るんです。便利だ…。

 囲炉裏の下には収納庫として部屋があり、囲炉裏奥の板を外すとレンガの梯子から部屋 に入れるようになっています。不便のないよう工夫を凝らして建築されたようです。

 なんだか迷宮屋敷みたい、こんな広い家でかくれんぼしたら楽しいだろうなぁ。

二部屋で食事  囲炉裏の左にある部屋から撮った写真。津島家の家族、女中と合わせて十数人がこの空間で 食事をしていたんです。写真ではわからないですけど、手前の畳の部屋は、奥の囲炉裏と段差 があり、手前の部屋のほうが一段高くなっています。

 実はこれ、段差の高い側に座る人のほうが偉いという家庭内差別。畳部屋には父親と長 男、次男だけが座れて、六男である太宰治は低い立場として囲炉裏で食事をしていた、という ことになります。畳に比べて座ると冷たいです。

 長男、次男というのは父親の家業を継ぐ大事な存在。それに比べて三男、四男となるに つれて必要の無い存在。青森ではその三男以降の兄弟を、親父のカスというイヤミを込めて「 オズカス」と呼ぶのだそうです。

 そういった差別こそが太宰治の反骨精神を生み、後にマルクス共産党の非合法活動へと 傾いていくという、小説「人間失格」のエピソードを生むわけですね。

ヒバ造りの廊下  何気ない廊下の床まで説明してくれます。この家自体、安価な檜ではなく青森産のヒバ(あ すなろ)を木材として全面に使用している、豪華な家です。

 床の板は均一な幅ではなく、場所により木材をわざと変えているなどのこだわりも。う ぐいす張りの廊下になっている場所もあるんですけど、わざと鳴るような仕組みで作ったので はなく、年月を経ることで鳴るようになったのではないか、と説明してくれました。あえて解 体して調べてはいないようです。

勉強部屋  太宰治が勉強用として使った部屋。とはいえ、兄弟が入り混じって使っていた部屋で、豪邸 とはいえ太宰治専用の一人部屋など与えられなかったのだそうです。

 写真中央にあるのが勉強机で、引っ張り出して使用するタイプ。しかし、太宰治が小説 家として名を馳せたのは、ここで勉強したというよりも父親が数多く所有していた本を読んで いたからだといいます。太宰治は、学校の授業をサボっていながらも学業優秀だった そうです。

和室の棚  手前には掛け軸と花瓶がありますけど、実は見所はそこじゃないんです。写真中央には筆な どを置く棚が宙に浮くように2段設置されているんですけど、その手前の柱をよく見てみると 70mくらい切られているんです(写真の真ん中)。

 これは、お客さんを招き入れるときに、部屋の入り口(ちょうど自分が写真を撮った位 置)から棚の飾り物がよく見えるように、わざと切ったのだそうです。自分じゃ絶対に考えつ かない発想ですね。

浮き彫り  ふすまの上には、よく昔の家で見かけるものが…。日の光が差すと空洞部分が白く見えて、 絵が浮き彫りになって見えるんですよね。安芸の宮島が浮き出てきます。

 ガイドさんが家の構造についての説明をしてくれるので、これなら太宰治ファンでなく てもきっと楽しめますね。自分の母親の田舎もこういう家なんで、仕組みなど興味深い話が聞 けてラッキーだったな。

黄金の仏壇  うわぁスゴイ、金の仏壇。これじゃ安眠できなさそう。

 確か現在の価格で数千万円するって言ってたかな。これも実はエピソードがあるんです 。この家を人手に渡すとき、この仏壇は東京にいる兄弟のものとして運び出されたものの、そ の兄弟も亡くなって家族の引き取り手が無くなってしまったのだそうです。あやうく国の所有 物になってしまいそうなところを、太宰治記念館が奇跡的に買い取ることができ、数十年を経 てこの家に舞い戻ってきたのだそうです。

盗まれた釘隠し  柱のいたずら書き発見!これは斜陽館が旅館として営業されていた時代に、宿泊客が書いた ものだそうです。「椿」って書いてあるのでしょうか。

 その場所には本来、釘隠しが取り付けられているべきなんですけど、その釘隠しも高価 な物だったようで、どうやら宿泊客に盗まれてしまったようです。今となってはこれもガイド さんの説明ネタとして重宝されているようです。

銀行の部屋  金融執務室。金貸し等の金融業務(いわゆる銀行)として使用されていた部屋です。左には 金融関連の書物棚、そして金庫収納棚が設けられています。

 当時、洋室というのは威厳の表れとされていて、外国人と互角に張り合うために和洋折 衷の豪華な造りを取り入れた、要は政治家らしい気取った家というわけですね。

和洋折衷の階段  よくパンフレットの写真に使われる、2階への階段。

 小さい通路の天井の模様が凝っているとか、ドアの裏に鏡がついているとか、これでも かってくらい説明をしてくれます。

 階段はここだけでなく、1階の台所に直結する階段もあり、2階のお客様への食事を運 ぶ役割に使用されていたそうです。

会議用の洋室  外国人との会議室。椅子とじゅうたんの柄がオシャレ。

 実は椅子は男性用と女性用があって、女性用のほうが少し座高を高く作ってあります。 当時、女性は椅子の上に正座して男性と同じ目線の高さを保っていたそうです。こういったと ころにも工夫を凝らしているんですね。

 写真には載せてないですが、天井のシャンデリアもなかなかオシャレでした。

遊び部屋  2階には、太宰治がよく遊んでいた部屋があります。

 ふすまには漢文が書かれており、左から2番目のふすまの最後に「斜陽」という漢字が あります。太宰治の小説「斜陽」のタイトルは、幼少から何気なく見ていたその「斜陽」の文 字がもとになったのではないかと言われています。

 旅館創業時代にこの建物を「斜陽館」と命名したのも、この「斜陽」がもとになってい るのだそうです。

こだわりの天井  部屋や床だけでなく、天井もスゴイのだとか。

 床と同じように単純に板を敷き詰める天井の作りが一般的と言われる中で、板を配置し ただけでなく細長い木を組み合わせています。

 模様として見た目の美しさもさることながら、構造的にも頑丈ときては褒めざるを得な いというカンジでしょうか。色々と細工が施された、腕のいい建築家が立てた家なのでしょう ね。

父親の部屋  父親「津島源右衛門」の部屋。一家の大黒柱の部屋なのに、実は一番質素なんで腑に落ちな いですね。

 木造(きづくり)町に源右衛門の実家があるんですけど、婿として家に入った源右衛門 は一番貧粗な部屋を当てがわれた…そして自分の家を建てたときもあえて実家と似せて作り、 自分が一番落ち着く質素な部屋を自分の部屋としたそうです。

骨董品のある家  さて、1階に戻ってきました。目の前に部屋をセパレートする板が置かれていますが、万里 の長城が描かれているようですね。

 1階はふすまを外して大人数で宴会を開くこともでき、こういった家具も飾りでなくて 実用的なものなのでしょう。

 セイコー(だったかな?)の海外輸出版時計を逆輸入して飾っているなど、骨董品収集 も趣味にしていたようです。


 他にも色々と説明してもらったんですけど、うーん正確に覚えていないですし、あえて 全部ここで書き記さなくてもいいかなと。もっと知りたい人は実際に足を運んでみるといいで すよ、特に太宰治ファンの人は。土蔵には太宰ゆかりの品々が沢山展示されており、じっくり 見れば半日は潰せそうですね。

 このページでも家の造りについて解説してますね。→ 津軽の旅

 あと、うまくお礼を言えなかったですけど、説明していただいたガイドの方、本当にあ りがとうございました。普段は津軽弁を話す地元の方が、気張ってでも標準語でちゃんと説明 をしてくれて、硬い表情ではありましたけど勤勉さが伝わってきました。


太陽の斜す豪邸  充分に金持ち気分に浸れたので記念館を出ると、建物に夕日が当たって、煉瓦が綺麗な夕焼 け色に染まっていました。斜陽館という名前は先ほどの「斜陽」の文字からだけでなく、この 夕日に照らされた建物の様子が大変に美しいことから命名されたとも言われています。

 近くにはお土産屋さん(特にリンゴお菓子系のお土産が充実していました)と、金木町 発祥の津軽三味線を紹介する津軽三味線会館もあり、時間があれば見ていきたかったですね。 斜陽館の左隣にある食事処は、当時から家の一部として使用されていた建物だそうです。

 ・太宰治記念館「斜陽館」公式ブログ
 ・神須屋通信:青森旅行と太宰治の生涯
 ・鉄道紀行への誘い


津軽富士こと岩木山  金木町から五所川原へ向かう途中で見かけた風景。

 南西に広がる平野と、津軽富士こと「岩木山」。裾野をほのかに夕日が染めて、淡くも 美しい景色に感嘆してしまいます。ハァ。

 「岩木山が素晴らしく見えるのは、岩木山の周囲に高い山が無いからだ」というのは津 軽出身の小説家、葛西善蔵という方の言葉だそうですが、その言葉のまんまですね。


 ●五所川原 17:45〜18:30

 予定では、五所川原にある佞武多(ねぷた)の館にも寄ろうかと思っていたんですけど 、こんな時間なので寄らず、散歩だけしてみました。

 岩木川の流れる小都市と聞いていたものの、実際は商店街に車が溢れている忙しい街と いったカンジでした。

 隣の木造(きづくり)駅の近くまで行ってみようとも思いましたけど、結局断念。商店 街のコモヒ(雨や太陽を避ける店入り口のテント屋根)が今でもあるのか気になるな…。まぁ 津軽半島を充分楽しめたんで、もういいかな。


 ●西むら 19:45〜20:30

青森の郷土料理集合!  青森ベイブリッジのたもとにある三角形の建物「青森県観光物産館アスパム」内にある郷土 料理屋「西むら」に入ってみました。

 自分が食べたのは右写真の縄文コース(青森郷土料理コース)。

 写真右下は青森名物「じゃっぱ汁」で、タラの身を使った味噌汁。具も汁も甘くてGO OD。そして右上のホタテ刺身が分厚くてプリプリしていて、これだけでも海の幸の豊かさが よくわかりますね。酸っぱめな大根の漬物、タコの大根おろしも味わい深し。

 左上の甘く温かい「ホタテの貝焼き味噌」も健在。やっぱり貝焼きはウマイわ。


 ●サークルK 21:00〜翌3:40

 どんと疲れた…。
 明日からの岩手巡りに向けて、寝ておかなきゃね。

 弘前から国道282号を一気に盛岡まで下るルート。
 途中、碇ヶ関の先に峠道があり、体力が持つかどうか…。


 青森のおみやげ

アップルパイ630円  リンゴ一個を丸ごとシロップ漬けにして、パイ生地で包んだまさに青森リンゴそのまま のお土産「アップルパイ」。もちろん芯は取り除いて、代わりにリンゴ餡で埋められていま す。
 切った瞬間にリンゴとパイ生地が分離してしまうので食べにくいものの、リンゴのシャ キシャキ感はたまらないものがあり、リンゴの蜜の味は甘くて美味しいです。家族にも、会社 の先輩にも大好評でした。


気になるリンゴ630円  先ほどのアップルパイの類似品「気になるリンゴ」。自分はこっちのほうが好きかも。 第24回全国菓子大博覧会金賞のお墨付き。
 同じくリンゴのシロップ漬けですけど、こちらは煮ていないためシャキシャキ感が強め です。(煮ていないので賞味期限は短い:20日程度)
 リンゴがジューシーですけど、パイ生地はしょぼいです。

ラブリーパイ  「ラブリーパイ」。上の二つはボリュームもあるんで、一人暮らしの人にはこちらがオ ススメ。
 新鮮なりんごを蜜漬けしたものを、カスタードクリームと幾重にも折り重ねたパイ生地 で包み焼き上げたアップルパイ。何といってもコクと風味のあるカスタードクリームがパイ生 地との相性バツグンです。煮たリンゴの薄い食感、カスタードのほど良い甘み、パイ生地の自 己主張。どれをとってもウマイの一言です。→ 日本全国銘菓の旅

りんごスティック  「パティシエのリンゴスティック」。太宰治記念館近くのお土産屋でバラ売りしてまし た。見た目や包装も良くて、開けて食べるまで期待感が湧きますね。
 こちらは外側のパイも内側のスポンジもしっとりとしています。リンゴはやはりシャキ シャキとしていて味も良し。ほんのりしたシナモンの香りと味が、食欲をそそるんですよね。




 今回は幅広く移動をしたようでいて「奥入瀬」「恐山」「斜陽館」と、一日一箇所をじ っくり観光することができました。いいカンジでしたね。

 青森にしても鹿児島にしても、首都圏から離れれば離れるほど独特の文化が色濃く出る んですね。時の流れがゆっくりで、広大で寛大で、自分はどうして忙しく生きているんだろう って考えさせられてしまうほどです。

 景色などはすごく良かったんですけど、感動的な食事には巡り合えなかったのが少しと 残念。ホタテの貝焼き味噌なんかは甘くて美味しかったんですけど、特別とまでは言えず。岩 手と秋田のほうが食には恵まれているようです。

 時間がたっぷりあると思っていても、やはり青森も3日じゃ全部巡れないですね。青森 市街、弘前、八戸、岩木山、八甲田山、浅虫温泉、大鰐温泉、白神山地の暗門の滝コース、そ れに深浦の文学記念館(これも太宰治ゆかりの地)にも寄れませんでした。

 県境の八幡平もドライブしただけなので、いつかまた青森巡りしたいなって思います ね。

 それにしても青森の道はどうしてあんなに真っ直ぐが続くのだろう…。ちょっと単調す ぎて運転するのも疲れます。岩手と秋田の比にならないくらい自然の森で占めていて、移動す るだけでも距離があって大変でした。